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Queen“Bohemian Rhapsody”のサウンドの秘密を探る Part-6 [音楽に関わるブログ]




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Queenのメンバーたちは、バッキング・ヴォーカルのレコーディンの際、どのような連携を図ったのだろうか? 

ベイカーは続ける。

「ロジャー・テイラーは、スタジオ奥に設置されたドラムセットの後ろに座り、ジョン・ディーコンは壁を背にし、彼の右手にマーシャルのベースアンプを置き、コントロール・ルームの窓から見える位置にいた。ブライアンは、ブースの中におり、フレディーは中央のやや窓側にあったピアノの所にいた。」

「当時の我々は、スネアに複数のマイクを設置せず、1本で狙うことにしていた。当時の常識ではコンデンサーマイクを使用する傾向があり、タムとオーバーヘッドにはノイマンのU67U87を使った。
当時はU67U87への移行期で、スタジオには1本は常備されていたし、他のマイクもあった。バスドラにはAKG D12を使った。現在では標準的に使用されているAKG D112マイクの前の時代だったな。

ジョン・ディーコンのベースはコントロール卓にダイレクト・ボックス経由で繋いだ。スタジオ側は、市販のダイレクト・ボックスがなかった時代だったため、自分たちで作ったダイレクト・ボックスを使用する傾向があった。しかし使いモノにならなかったんだ。それでスタジオの連中は、ケーブルをそこらじゅうに引き回していたよ。ギターアンプに引き回したケーブルを繋ぐと、若干だが信号のロスが発生することになる。

それ故、それらを相殺する手だけを考えねばならなかった。我々はまた、エレクトロ・ヴォイス666や時にはノイマンのU67コンデンサーマイクを使ってジョンのアンプのエアー感を拾う事にしたんだ。」

「私はコントロール・ルームの後ろに座って、Bohemian Rhapsodyを聞きながら、自分が聞いているものがポピュラー音楽史の1ページを飾るシロモノだと初めて感じていた。私の中で“超弩級の作品だ”っていう声が聞こえていたよ。正にそうなったがね。 
フレディーのピアノは、ノイマンU67を使って録音した。彼のガイドヴォーカル用には、シュアーのマイクを使った。彼は曲全体に渡って唄ったのではなく、バンドのメンバーに曲の場所が分かるように各ラインの冒頭部分の触りを唄っただけだった。」

ブライアンはフレディーと曲の制作過程について語っている。

「フレディーの書いた曲は、他の曲と違ってピアノがフィチャーされる事が多く、ドラム、ギターやその他の音源はその後ろに控えるという感じだった。またフレディーは例外的とも言えるピアニストだった。彼は本格的なクラシックピアノの教育を受けてきた訳じゃないんだが、自己流で積み上げてきた彼の演奏は非常に情熱的でアタックを強調し、正確なリズムを刻むというような独特のものだった。

まるで彼の体の中にメトロノームでも入っているような正確さだったよ。フレディーのようなタイプのピアニストには殆ど出会った事がない。技術的に優れたピアニストは大勢いるが、フレディーのようにまるでドラマーがリズムを刻んでいるようなアタックのあって正確なリズムをキープした演奏をするスタイルのピアニストは極めて稀だと思う。フレディーはピアノを演奏する時にクラシックの演奏家のように指を立てて演奏せず、寝かせ気味にして押しつけるような感じで演奏するんだ。オペラセクションに入る時の4分音符のコードの刻みを聞くと良く分かるが、演奏が非常に正確なんだ。」

ブライアンは更に続ける。

「レコーディングの時、曲の冒頭のコーラスはフレディーが行った4カウントを聞いてからメンバーがコーラスを歌い始めている。そして事前に録音してあったフレディーのガイドピアノを聞きながらコーラスを歌ったんだが、ミックスの際にはアカペラの処理にするために消去されている。」

ブライアンはジョン・ディーコンが演奏したベースのトラックについても語っている。

「トラックシートを見ると分かるんだが、3つのチャンネルに分かれて録音されているんだよ。1つはベースギターからの直接音、つまりダイレクトボックスを経由したもので、もう1つはアンプの直接出力、もう1つはアンプをマイクで収録したものだ。これはエンジニアのロイが好んでやっていた方法で、それぞれに個性の違う音(信号)をミックスして作るんだ。演奏を聞いているとハッキリと分かると思うが、ジョン(ディーコン)の演奏は、フレディーのピアノの左手の演奏のタイミングと完全に同期しているよね。」


つづく。

Part-7につづく:
https://skjmmsk.blog.so-net.ne.jp/2013-04-23
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