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テレビ・メディア業界の浮世離れ [独り言]

テレビ・メディア業界の浮世離れ
池上彰氏の番組や彼自身、また彼の番組関係者が炎上している。
もうかなりネット上で拡散された話なのでここでは重ねて語らない。
少なくとも池上彰氏の名前が冠になっている番組に関して、
複数の同業者から同質の不義理とも言える体験が発信されているため、
普段から政権批判や評論をしている池上彰氏には
一定の説明責任があるだろうと思う。
冠番組を持っているということはそういう事でもある。
参考:池上彰「パクリ疑惑」へ「Me Too」騒動(八幡 和郎氏)
仮に池上彰氏がそうした経緯を知らず、全て自分の知識だけであのような番組の内容を語っており、
それが納得できる話であればそれはそれで良いだろう。
当然だが、彼の知識は誰かから教わり、また本や体験などの総合的な能力だ。
それは誰でも同じだ。
しかし、番組を構成する上で、池上彰氏の能力を上回る情報を詰め込み、
過剰な演出で博識に仕立て上げ、
池上氏も番組スタッフが集めた情報に基づいて台本を語っているのだとしたら、
俳優業としては認められるだろうが、
ジャーナリストを標榜する彼としては、その情報の出どころや引用先について
注意を払うべきだろうし、当然明らかにすべきだろう。
さて昨今、テレビメディア(報道)や番組制作について一般人らも裏側を知り理解できる時代になった。
これはネットを通じた情報によって、玉石混交ながらも
玉に近い精度情報を発信する人たちに一般人がアクセスできるようになったからだ。
そういう意味で、これまでのように大手メディア側が、視聴者をシロウト扱いして、
自分たちの思い通りに作った番組を垂れ流して済むような時代ではない事を理解すべきだろう。
私も過去にテレビ局やラジオ局の人たちと仕事をする機会があったが、
非常に魅力的な人材の宝庫であり、また優秀な人間も多い反面、
視聴率至上主義に毒された人たちも多かったのは事実だ。
彼らの多くにとって視聴率を取ることが課題なのだが、
そのインセンティブによって様々な歪みが生じているもの課題なのだ。
どうしても視聴率を取る事と番組の質を維持することの2つの課題に対して、
視聴率を取れる番組は質が良いという見方になってしまう危険性があるからだ。
実際、番組制作者は、1分単位の視聴率に対応して生きている。
そのため、相当なプレッシャーを抱え、制作過程で無理をし始める。
数字が出なければ数字の出る端的な方法へ向かいがちになるからだ。
つまり方法や演出が過激になり易いという事だ。
彼らにとっては、コンプライアンスなんて眠たい事を言っていたら視聴率が取れないという思いがある。
また大抵の場合、一般的な視聴者を引きつけるには、普通の事をやっていたら高い視聴率を取れないと思っている。
そのためどうしても過激な方向に事を進めたり、本来はあり得ないような自己ルールを外部に適用し始める。
特にテレビメディアは視聴率によってでしか価値を図れないため、
視聴率を稼ぐ事が出来る企画、キャスティング、演出、編集等をすることになる。
また一旦視聴率を稼げる企画、キャスティング、演出を見つければ、
さらにそれらを強化し始めるという事だ。
テレビ番組は作りものだ。デフォルメも多く、事実誤認や情報誘導も多い。
視聴者側は、演出の過程も分からず、素材の出どころや編集過程も知りようがない。
従って一般的な視聴者が制作背景を見抜きながらテレビ番組の接するのはなかなか困難だ。
嘗てはこうした流れの中でテレビ業界の人たちは番組を作ってきた。
しかし現代のようにネット情報発信が力をつけ、テレビに依存しない識者たちが出現する時代になり、
昔ながらのテレビ制作マンのような意識では番組の質を維持できないのは明らかだ。
あの世界だけに住んでいれば、私の書いていることなど吹けば飛ぶような話なのだが、
世間は確実にテレビ業界やメディア業界がガラパゴス化しているとみている。
私は最近殆どテレビ番組を見なくなった。新聞、雑誌も殆ど読まない。
それ以外、本は相当読む。
日々の情報源はネット(ネットニュース、YOU TUBE等)かラジオだ。
これで全く困らない。
何故かと言えば、ネットで得るようなニュースの背景や解説は、
YOU TUBEやラジオ、書籍で得られる。
また複数の見方(保守から革新)を見聞きしていれば、
自分の視点の検証も可能で、それで十分だ。
つまり一定の情報を得たら、ブロックチェーン的に情報の精査をし、あとは自分の頭で考えるということで成立するという訳だ。
これによって今までよりもオールドメディアがどれだけフィルターをかけて
情報発信し、自分がそれを鵜呑みにしてきたかが分かるようになった。
こういう人間は少数かもしれないが、確実に増えている点は強調しておく。
テレビ番組で見ているものと言えば、タモリさんの関係している一部のものか、
出川哲郎さんの「充電」、BSフジのプライムニュースくらいだ。
この2人の番組に共通しているものは、明らかに演出過多でなく、
素材映像を頑張って編集して番組にまとめている点だ。
もちろんこれらの番組にはディレクターがおり、撮影前には相当な準備をしているのは明らかだが、
受け手に悪影響があるほどではない。
BSフジのプライムニュースは、反町さんが居なくなって質問力が落ちたのだが、
ゲストの面々の質は高く、他の報道番組とは一線を画している。
なお、田原総一朗氏の番組は一切見なくなった。
彼は古い時代のドキュメンタリー作家の悪い癖が抜けず、
出演者の意見を聞くのではなく、自分のストーリーにあった発言を強要する癖があるからだ。
田原総一朗氏は政治ジャーナリストとして功績も多い人物で、大変に評価もしているが、
極めてテレビ的な彼の悪い部分が顕著でもあり、
現代においては絶滅前の恐竜になってしまったと言っていい。
テレビがエンタテインメントである以上、やらせとは言わないまでも適度な演出は必要だ。
但し、もう明らかでバカバカしいやらせが通用する時代ではない。
池上さんの番組で問題になった小学生が劇団所属の子供を使ったのは、
「演出側の理由」で、「視聴者側の理由」ではない点が痛かった。
(もちろん視聴者側が無言の内に、こうした演出を求めているという面もある共犯関係でもある)
そもそも世の中に気の利いた視点を持った小学生を探すのは容易でなく、
従って番組作家が書いた台本をそれらしく読んで番組進行にリスクが無いように考えたのは、
番組制作者としては普通の事なのだが、プロデューサーも含めて、
時代の趨勢を見誤っていると言っていいだろう。
池上氏も小学生たちが仕込みと知っていたかまでは分からないが、
知っていたとしたら共犯関係にあるだろうし、彼も時代を読めていないことになる。
昔は通用したが、今ではダメということはどの業界、業態にもある。
今にしてもテレビやメディアだから自分たちは「特別だ」と
考えている痛々しいバカはまだ多いだろうが、
もう現代は、テレビ業界もメディア業界が最先端じゃない事くらいは理解しておいた方がいいだろう。
そうは言ってもテレビや大手メディアは、現在でも影響力の多い分野だが、
その影響力に比する内容でない事も、段々明らかになっている時代でもある。
そういう時流に謙虚に向き合ってコンテンツを作って欲しいと思う。

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