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Queen “Bohemian Rhapsody”のサウンドの秘密を探る Part-5 [音楽に関わるブログ]


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さて、このレコーディングが元々非常に複雑であるが故に、ベイカーの鋭敏な耳が、ヴォーカルの微妙な音程の狂いに気づいていたとしても驚くには当たらない。彼は以下のような発言を残している。

「ハーモニーの中には、例えば経過音(ある音から別の音へ移動する際に通過する音)に対して完全な音程でハマっていない2音があったりしたんだ。我々はそうした音を意図的に残した。

理由はミステイクと言えるほどではなかったからだ。クラシック音楽の解釈では問題にならない範囲だったが、ロックの世界では(ハーモニーが)気になる問題だったんだ。しかし経過音の中では問題を感じる程ではなかったのでOKとした。もしどうしても気になって対処を必要とすべきものであったならば、単にそのテイクを消去して再度録音し直しただろう。それ故、最終バージョンで聞こえている内容は、全て意図的だった、まあ支離滅裂な意図だったが、そうであるべきだったんだよ。」

 

ブライアンも重厚なコーラス制作過程について語っている。

「とにかくオペラセクションは何度も重ねたよ。トップの音を単独で聞くとちょっと変な感じもするけどね。またコーラスの音符の動きが非常にアップダウンが激しかったために完全な音程が取れていないパートもあったが、それが全体的に功を総した部分もある。とにかく難しかったよ。同じラインを歌いトラックコピーをしてまとめ、またユニゾンで歌いそれを何度か繰り返し最後に全てのコーラスを2つのチャンネルにまとめたんだ。出来上がったコーラスは上手くブレンドしたと思う。3人がそれぞれ個性をもった声をしていたことが上手く行った原因だろうね。ジョンだけは自分の判断で歌わなかったんだけどね。彼は低域専門だったからね。(笑)。」

ベイカーが付け加える。

「ジョンが歌わなかったのは彼自身の判断だった。自分の歌声を余り好きでなかったからね。ここに至るまでメンバー間で色々とあったんが、結果的にバッキングコーラスは3人で録音した。またオペラセクションの一番高いパートを歌っていたのはロジャーなんだよ。
そういえばフレディーは非常に几帳面な人物で、スタジオ作業をしている間、何かあると常にメモに残して記録しておくような人物だったなあ。あれは多分彼の癖なんだろうね。」

 

ブライアンがさらに続ける。

magnificoの部分のコーラスは私の好きなパートだ。 階段を下るような感じで(彼はこれをCASCADEという表現をしている)コーラスが増えて1つのコードを作り上げている。その後も重厚なコーラスが続くんだが、Let me goの部分のトップはフレディーが他のメンバーよりも意図的に譜割を伸ばして歌っている。またロックセクションのSo you think you canからはフレディーがユニゾンで歌ってトラック重ねている。(ブライアンはこれをダブルトラックという表現をしている)

この部分の彼の歌唱は、驚くほどシャープだった。2つのトラックは僅かだがニュアンスが違う感じで歌われていて、完全に一致しない方法で歌ったんだ。実はフレディーは完全に一致した歌い方もできる人間で、Love of my lifeでもやっているんだが、完全に1つの声に聞こえ呼吸の時の息づかいだけが増えているように聞こえるようにもできる。しかしこの曲では意図的にそうしていないんだ。それは音像に厚みや奥行きを加えるためなんだ。
また、今でも覚えているんだが、leave me to dieの当初のメロディーはレコードで歌っているような音の終わり方でなく、もう少しフラットなメロディーで終わっていたが、最終的にフレディーがレコードで聞かれるようなアップしてダウンするような流れに変更したんだ。
(注:ライブで歌っている時は初期構想のフレーズで歌っている時がある)

このダブルトラック構想のアイデアの根源にはビートルズがあり、特にジョン・レノンがビートルズの後期に頻繁に行っていたダブルトラックによる録音を参考にした。機械的でない人間臭さを出そうとしたかったので、この方法での歌の録音をする大きなキッカケにもなったんだ。

またNothing really matter直前のギターも複数の音色とトラックで構成しているんだが、ピアノの低い部分の鍵盤の演奏が終わったあとのギターの演奏個所は私の心の中では管楽器の音色をイメージしていたんだよ。ここではジョン・ディーコンが作ってくれた小さな箱位のギターアンプを使ったよ。このアンプのお陰でファンファーレのようなイメージの音にすることが出来たんだ。だからここのギターの音は他のセクションとは全く違ったものなんだ。

ドラムのロジャーはドラム以外にティンパニーなどをオーバーダビングしているよ。」

つづく

Part-6につづく:
https://skjmmsk.blog.so-net.ne.jp/2013-04-19-4


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