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Queen “Bohemian Rhapsody”のサウンドの秘密を探る Part-3 [音楽に関わるブログ]

レコーディングセッション:

Bohemian Rhapsody”のレコーディングは、イギリスのヘレフォードシャー州での3週間に及ぶリハーサルの後、1975824日、マンモスにあったロックフィールドスタジオの第一スタジオで開始したとされている。

Rockfield (1).jpg

ロックフィールドスタジオの外観


宿泊施設をそなえ、簡素な平屋建てのスタジオでのレコーディング以外にもさらに別の4つのスタジオ、SARM (East), Scorpion, Wessex and Roundhouseが本作のために使用された。
当時、シングル曲の制作費としては最高の制作費を使い、後年ギターのブライアン・メイが、“A Night At The Operaは、Queenにとって、ビートルズのサージャント・ペッパーなんだよ”と言うのも無理からぬ程の作品だった。またQueenにとってビートルズは常に研究の対象だったようだ。

Queen
の生き活きとした音楽の色彩は、当時デッカとトライデント・スタジオのプロデューサーで、ロック、オペラやクラシックなど広範な音楽に造詣が深いトーマス・ベイカーに依るところが大きい。
ベイカーは、マーキュリーレコードが“Bohemian Rhapsody”と呼ばれる新曲を偶然にも試聴することになるまで、既にQueenの初期3枚のアルバム、Queen, Queen II and Sheer Heart Attackを手がけていた。しかし彼が獲得していた専門知識が、この叙事詩を形作るに当たって総動員されたという点に気がついた者は数少ない。

ベイカーは、この曲を最初に聞いた時の事を回想する。

「ある夜、夕食のために(西ロンドン)ケンジントンにあるフレディーのアパートに行ったんだ。彼がピアノに座り、“今ちょっと書いている曲があるんだが聞いてくれないか?”と言いながら、最初のパートを演奏し始めるたんだ。彼は、“これは中間部に繋がるコード進行で・・”とか説明をし始めた。まだ歌詞は付いていなくて、私はバラード曲になるだろうなと思いながら聞いていたんだ。フレディーはその先へと演奏を進め、突然ピアノを弾くのを止めると、”ここにオペラのセクションが入るんだ“と言い出したんだ。それで二人とも大笑いしたよ。」

私はデッカで、D'Oyly Carte Opera Companyで働いた経験があって、オペラの歌唱方法や強勢方法などについて学んでいたんだ。だから当時の私は、世界でもフレディーが何を意図しているかを正確に理解できるほんの僅かな人間だったと言えるんだ。」

ベイカーは続ける。

「それまでポピュラーミュージックにオペラを合体させるというアイデアを実現した人間はいなかった。だったら最初の人間になるべきだろうと思ったね。明らかに独創的だったし、当初から“ガリレオ”というラインを数回入れるつもりだった。しかし実際にスタジオに入ってみると、事態は全く違う方向に動き出し、曲も長くなり、どんどんと規模が拡大しはじめたんだ。曲の冒頭の部分は割とありがちが感じだったし、最後のセクションも新しいという程ではない。だが我々は、ギターやオーバーダビングでそれらを美しく彩ったんだ。しかしオペラの部分は、最終的に当初のコンセプトから外れざるを得なかった。それは我々が作業の進行と共に音楽を変え続け、様々なアイデアを重ねて行った結果だからなんだ。」

ベイカーとQueenのメンバーは、3つのセクションのバック演奏部分をキングズリーワードにあるロックフィールドスタジオで録音した。その後、ギターや緊張感漂うヴォーカルのダビングをするために、ロンドンの北にあるスコーピオン・スタジオやSARMスタジオに移った。

「冒頭のバラード部分の前半はピアノ、そしてドラム、ベースと通常の楽器で作業をした。この時点ではオペラ・セクションのレコーディングには手をつけなかった。」


ロジャー・テイラーはこの時のセッションについてコメントを残している。

「最初はちょっと困惑したし、ちょっと忍耐も必要だったよ。全てを把握していた訳じゃなかったからね。レコーディングが進むにつれて全体像を把握できるようにはなったが、それでも困惑感が残っていたことは確かだったね。」

ブライアン・メイは、全てはフレディーの頭の中にしかなかったと語っている。

つづく

Part-4はこちら:
https://skjmmsk.blog.so-net.ne.jp/2013-04-19-2 


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