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広瀬香美さんの突然の独立と芸名の使用について考えてみた [独り言]


広瀬香美さんが突然の独立騒動で久しぶりにマスコミと世間の注目を集めている。


「広瀬香美」芸名使えない…28日移籍発表も事務所が活動禁止を通告
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180601-00000006-sanspo-ent


広瀬香美「活動は今まで通り続けていきます」と反論
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180531-00225920-nksports-ent


これに対して元の事務所であるオフィス30はコメントを公開している。

www.officethirty.com/


オフィス30のWEBを見ると分るが、タレントは彼女一人だ。
事務所のページでは分からないが、実はこの住所は広瀬氏を全面に出したボーカルトレーニング学校「ドゥ・ドリーム」を運営している。
「ドゥ・ドリーム」の開校は2000年頃だったはずで運営にはオフィス30の社長の平野洋一氏も絡んでいるだろうと推察できる。
当然だが、住所が同じだからだ。

http://www.do-dream.co.jp/


2018年6月1日のWEB記事:
◎広瀬香美の移籍騒動、事務所が会見 2月から4度話し合いも交渉まとまらず
https://www.msn.com/ja-jp/entertainment/celebrity/広瀬香美の移籍騒動、事務所が会見-2月から4度話し合いも交渉まとまらず/ar-AAy5viA#page=2


2018年6月4日のWEB記事:

広瀬香美代理人ファクス全文 一方的な『独立宣言』否定、2月以降話し合いを行ってきた




こうして見ると社長の平野洋一氏と広瀬香美氏は長年ビジネスを共にしてきたパートナーと言える。
デビューからの付き合いだ。
その彼女が長年のパートナーを袖にして独立した本当の理由は部外者の私には分からない。

記事には、「広瀬の主張は「このままではアーティスト生命が終わってしまう。コンサート会場が満員とならないことに事務所に責任がある」というもので危機感を抱いており会社の代表権を渡すようにという要求があった。」という記載があった。
一方平野氏は、代表権を渡さなかった理由について「免許の更新もわからないような世間知らずの人が代表取締役になって会社でフォローできるのか心配があった」と説明したようだ。

これだけの情報で何かを断定できないが、アーティスト側と経営側の意思の齟齬があったことは伺える。と言っても小さい事務所と想像され、社長とタレントの距離感は本来小さいとみるべきだ。それでもこうした意思疎通の齟齬が起きている。広瀬氏の一方的ではないという抗弁はちょっと「?」で、契約とは一定の条件以外では簡単に解除できないように書いてるあるのが普通だ。例えば倒産や横領など契約を持続させるのが著しく困難な場合に限られている。色々と話したけど言うこと聞いてくれないから契約継続は止めるけどよろしくね!っていう訳にはいかないのだ。

アーティスト側としては、「コンサート会場が満員とならないことに事務所に責任がある」という意味は、自分の実力であれば設定したコンサート会場が満員なるはずで、そうでないのは事務所が仕事をしていないという見方をしているということだ。
一方平野氏からすれば、世間知らずの彼女が事務所の経営を担っても結果に繋がらず事態を悪化させるだけと見ていたということだ。

まあ、双方にそれぞれの見方と理由があると思うし、双方の主張は双方として正しいかもしれないとも思う。

非常に俯瞰した冷静な言い方をさせてもらえれば、少なくとも広瀬さんのコンサート動員が彼女の想定通りになっていないのは、主に彼女が自分自身のマーケットバリューを見誤っている点と、仮に平野氏がそれに気が付いていたとしても長年のパートナーであり傷つき易いミュージシャンの人格に本音を突きつける事を躊躇した可能性があるのだと思う。

厳しい言い方だが、コンサート動員数は市場の意思を反映しており「絶対にウソ」をつかない。また本来、彼女のような30年近いキャリアを持つベテランになれば動員数は急に増えたり減ったりもしない。
動員数が想定以下ということはキャパ設定が実力値よりも大きすぎるか、仮にそんなに大きくない小屋を埋められないとすれば、それが現在の彼女の市場価値であるというだけなのだ。
一発屋のようなヒットでブームを作り、一時的に動員が伸び、急激に下がるケースもあるが、彼女はそれなりにヒットを出しており、歌も上手いのでやり方によってはコアファンを維持できるタイプだったと思う。

彼女のようなベテランになれば、一定の固定ファンがいるはずで、そこが中心的な客になる。
近作にヒットがあるとか、露出を多くして宣伝をしたとかテレビに出る出ないは殆どコア動員に関係がない。
コアファンは長年彼女の存在に対してコミットをしており、ずっとフォローしているため表面的な活動の浮き沈みに連動しない。B'zのファンクラブ会員数は25万人と言われているが、コアファンを持ったアーティストは流行に左右されない活動がしやすいし、ビジネスの計算もし易い。
従って彼女の動員数が伸びないのは、経年に渡ってコアファンを少しづつ喪失し、尚且つ周辺の浮動票を取り込めなかったと見ていい。
そしてこれまでの彼女の存在やコンサートが本当に市場に対して魅力的であれば、少しづつだが動員は確実に伸びる。ただこれには条件があり、毎年ある一定数のライブ活動を地道にやる必要性がある。

実際彼女クラスの活動歴を持つミュージシャンでライブ動員が安定している、もしくは伸びている人たちは例外なく大きな固定ファンを持っており、またファンがファンを呼ぶ。
私の大好きな山下達郎さんは、遂に二世代目のファンが現れ、加えて女性ファンが顕著に増え益々チケットが取れない状態だ。
つまりこうした動員の現象は昨日今日の活動で生まれる訳でなく、80年代から現在に至るまでの地道な蓄積だと言える。

彼女の立場としては事務所の努力不足が動員に繋がらないと言いたいのだろうが、ベテランアーティストの場合、宣伝や仕掛けをすれば大幅に動員が伸びる訳ではないのは前述した通りだ。

広瀬さんよりもちょっと先輩の八神純子さんは、結婚後L.Aに移住し子育てをし、日本での活動に20年近いブランクがあったが、6~7年前から日本でのレギュラー活動を開始し、現在では年に数万人単位で動員出来ている。
これは彼女の潜在的なファンが現在の彼女のパフォーマンスを評価した結果で、口コミで拡がった賜物だろう。彼女はここ最近新作のヒット曲は1曲もないが、ライブ動員は無関係に好調で、東京の2000名キャパでも不安なく満員にしている。

私も八神さんのライブには何度か言ったが、50歳を過ぎても衰え知らずの彼女の唄声は確かに聞く価値がある。広瀬さんのライブや彼女のパフォーマンスや声の維持がどの程度なのかは分からないが、いずれにしても動員数は絶対的な市場価値でウソをつかないし、突然増えたり減ったりもしないのだ。

「BLOGOS:広瀬香美 事務所移籍騒動の陰で立たされていた冬の女王の苦境 」
http://blogos.com/article/301695/


ミュージシャンの性質としては、大抵の場合、売れれば自分の実力、失敗はスタッフのせいと考える傾向がない訳じゃなく、そういう意味で動員の成果に関して事務所の対応を理由にしたいのだろうが、残念ながらご本人のこれまでの活動の累積や価値の問題であると言うのが事実に近いと思し、こうした戦略的視点をアーティストと共有し対応してこなかった事務所にも大きな責任があり、特に社長と所属タレント1名のような小規模であれば尚更で、双方に課題があったと思う。

広瀬さんは2006年の離婚直後から毎年ツアーを始めたようだが、ここ10年程度のライブの履歴を見る限り、ツアー数はランダムで、会場も大きくても1500人キャパからビルボードのような会場で、最大でも年14公演で少ない年だと3公演しかしていない。正直言うと、ここ10年の活動を俯瞰すると活動の戦略性が全く見えない。言い方は悪いが場所や公演数を見ていると彼女の思いつきを汲んだようなツアー編成をしているようにしか見えないのだ。
CDが売れなくなり、ミュージシャンの収入においてライブ活動が重要になり始めたという認識が拡がった2006年以降においてもライブ活動を活発にやっている印象がなく、もう少し戦略的によく考えてマメにツアーをしてファンの固定化に尽力していたら現在の結果も違っていたかもしれないと思う。
一般的に、ミュージシャンは40代をどのように乗り切るかで50代以降の成否が決まる。そういう意味で、彼女は40代に行っていた曖昧な活動で失ったと思われる潜在的なファンが多いと思われ、今から取り戻すのは相当に難儀だと言っていい。かの山下達郎氏は40代の時期に7年もライブツアーをしない不遇とも思える時期があったが、定期的な作品発表と毎週放送しているラジオ番組とファンクラブ(ファンクラブだけのライブを行った時期もあった)でコアファンを繋ぎ留めていた。


さて、今回の独立は彼女一人で出来る訳はなく、外部協力者の存在があるだろう。


広瀬香美氏の新しい事務所、Muse Endeavor .inc :
新Web → http://www.hirose-kohmi.com
会社Web→http://www.muse-endeavor.com


オフィス30のTOPページには「広瀬香美」の名前は、弊社代表取締役である平野ヨーイチ氏が命名した芸名であり,「広瀬香美」の芸名の使用権限は,弊社及び平野ヨーイチ氏に帰属しており,
弊社当社所属のアーティストとしての活動以外には,「広瀬香美」の芸名を使用できません、と主張している。

この文面を読む限り、平野氏の主張はそういうことなのだろう。

しかし、文面だけから判断できるのは、自分が命名したから会社と平野ヨーイチ氏に帰属しており、という理屈で法的な根拠が全く記載されていない。
平野氏の主張は、名付け親、育ての親を差し置いてふざけるな!という事だろうが、
その事と芸名が使用できないという事は残念ながらリンクしない。


もし平野氏の主張通り「芸名の使用権限は,弊社及び平野ヨーイチ氏に帰属しており」であれば、
少なくとも「広瀬香美」という名前は、商標登録等で権利保全がされているか、
マネージメント契約内で完全な形で名称としての権利が契約で保全されている必要がある。


実は、J-PlatPatという商標登録を検索できるサイトで彼女の名前を探してみたが出て来なかった。
という事は少なくとも商標登録はされておらず、この点での権利主張はできないと考えられる。

そうなると、「マネージメント契約書」での主張が必要だが、彼らのように長いパートナー関係だと
最悪の場合を想定した形の綿密に書かれたような契約書の存在は怪しかもしれない。
これはオフィス30だけではなく、日本の芸能事務所で高度なレベルの内容でマネージメント契約書を締結している法人は少数だ。
つまりこの件については言った言わないになる可能性もあるということだ。



もし契約書に「かなり正確」に使用権限について書いてあり、それが更新時にアップデートされて契約記載されていなければ、平野氏の主張は道義的もしくは一部が認められる可能性もあるが、ある弁護士のコメントには、独占禁止法の抵触もあり、認められるかどうかは法廷の判断次第になる公算があるといことで、全体的な法的根拠が薄い可能性を指摘され、彼女の氏名の使用そのものが可能、不可能は判然としない。

いずれにしても、明示的な契約書や知的財産の確保の保証と裁判所の判断、もしくは示談がないと話が落ちないということだ。

独立した広瀬香美氏が引き続きこの名前を使用したいなら、早々に商標登録を検討した方がいいだろうが、
仮に平野氏が名付け親だとすれば道義的な責任を負うことにはなると思う。
彼女の新オフィス設立とWEBページの出来具合を見るとまだ仮の状態だ。
事務所の住所も何もないので、オフィス30を飛び出して、独立をファイスブックで公表したところまで
やったということなのだろう。


狭い音楽業界で今回のような独立を成功させるためには、有力がバックアップがないと活動継続が難しくなる。
あの業界ではトラブルメーカーとは関わらないようにするし、信義の問題を気にするからだ。
ただ、平野氏には芸能界の大御所のようなパワーはなく、仮に広瀬香美氏のバックに業界内の強力な協力者がいた場合、穏便に事を収める方向に事が進むだろう。
いずれにしても、今回のような独立の仕方は彼女の今後のアーティスト活動において全くプラスに働かないという点は強調しておこう。
誰かにそそのかれたにしても、52歳にもなってこういう子供じみた対処をする人物が戦略的に物事を考えているとは思えず、もう少し慎重に事を運ぶべきだったろうと思う。

また平野氏の反論会見についても、彼自身、事務所の代表としてもっと慎重に対応すべきだったろう。
それは彼女への反論を公にする目的がどこにあったかを平野氏が深く考えていた様子が見当たらないからだ。
どういうことかと言えば、もし今後も彼が広瀬氏と共同して事に当たることを目的としていたなら、会見そのものは不要であり、加えて会見で彼女に関してマイナス情報を公表する必要はことさらにない。
当然だろうが、今後一緒にやって行くタレントのマイナス情報が市場にプラス効果を出すはずもない。自分で自分の関わるタレントを批判するのは愚の骨頂であることは分かるはずだ。

また彼女と永遠に決別することに加えて自分の立場の保身が目的なら今回の会見は中途半端だったとしか言えない。つまり平野氏の愚痴を会見で述べたような印象しか残らないということだ。
いずれにしても今回の会見は目的が全く不明で、意図を見失っていたとしか言えないのだ。
企業の大小に関わらず、組織の代表者が公に発言する際は、非常に思慮深く対応しなければならない。
広瀬氏が事務所の代表である平野氏に不満があるとすれば、こういう部分に象徴される点かもしれないと感じた次第だ。


加えて彼女が校長を務め、平野氏が経営陣にいるボーカルトレーニング学校「ドゥ・ドリーム」は、現在でも彼女の名前や肖像を表に出して運営している。
学校の住所を見ても、彼女が今後この学校に関わる事はなく、事業イメージ上の大黒柱を失ったと言っていい。
学校には先生もいれば生徒もいる。コースには彼女が自分で教えているものだってあるようだ。
そういう状況下、彼女は平野氏と対決する形で独立して去ってしまったのだが、今後、学校との関わりについては彼女と平野氏の課題になるだろうし、学校のイメージ損失のリカバーも必要となる。


今回の彼女の決断が先の人生において正解だったのか、他にやり方があったのか?は分からないが、
大抵の場合、こうした強硬手段を取ると環境整理に時間とエネルギーを使うハメになって
暫くは音楽活動に集中するには難しいだろうと思う。
部外者の私が勝手に助言を出来たとすれば、まず己の現状の実力を冷静に把握し、周囲の意見に耳を傾け、地道でも中長期の活動計画を立ててそれを地道に実行して行く環境を作り、ご本人もそれを受け入れてやれるように努力すべきという感じだろう。
ご自身で会社を経営すれば事態を改善できると思っているようだが、人間にはそれぞれ持ち分というモノがあり、よく考えて方が良いと思う。50歳を過ぎるという事はそういうことが自然と分かる年齢であり、分からないとすれば彼女はもうそれまでという事になる。


さてどうなるのやら。



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