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結局才能ある若者たちはヒップな産業に集まる [独り言]


私は1959年生まれだ。


私が青春を過ごした時代に憧れの産業は音楽業界だった。
特にレコード会社やアーティスト事務所は垂涎の場所であり、
実際に時代の先を作っていたのは明らかに彼らだった。


現代に目を移すと音楽業界は見る影もなくなった。

何故か?


この年齢になると若い人たちの日ごろの興味どこにあるのかが疎くもなるが、

日常の行動を見ているとどうやらその原因がスマホゲームにあるらしいと感じた。


実際に電通総研が発行した情報メディア白書を見ればそれが数値的に分かる。

2015年の音楽産業全体の規模は1.5兆円程度だが、ここ20年で25%マイナスだ。
いわゆるフィジカルと呼ばれるCD販売の市場は2千億円程度で、
これはピーク時の1997年の1/4程度に縮小している。


反対にゲーム産業はこの10年で40%伸び1.7兆円規模に成長し、
特にスマホゲーム市場は約1兆円近い支配力を持っている。

音楽産業の75%に匹敵するマーケットが1つの事業ドライバーで成立しているのだ。

私の時代に才能ある若者たちは音楽産業やその周辺に集まり時代を作る音楽を生み出した。

才能が集まるから当然のようにヒット作品が増え、更に才能が集まった。

昨今ヒット作品と言われても誰も歌えない100万枚ヒットと呼ばれる一連のアイドル作品や、
年間ベスト10チャートが3組程度に寡占化され、多様性を失ったチャート、
また配信チャートとCDチャートとの大きな情報乖離を見るにつけ、
明らかに音楽業界が部分的に劣化していることを感じる。


こういう現象が起きている原因は1つだろう。


才能のある若い連中が集まっていないためだ。


ではどこにいるのだろうか?


現代において才能のある若い連中は、スマホゲームを開発している会社に集まっていると見ていいだろう。

若くてアンテナが敏感でクリエイティブの高い連中が縮小マーケットを目指すはずがない。


かつて音楽産業が華々しい時代を考えれば、現代においてそれに該当するのがスマホゲームの産業だ。
なんたって1兆円を超える規模になっているのだ。今後更に伸びるに違いない。


現場でゲームを作っている人たちの行動を見聞きすると、それはかつての音楽制作現場とソックリだ。
好きな連中が好きなだけ時間とエネルギーを注ぎ自分たちの頑強なコダワリを込めている。


そう、かつて音楽産業が華々しい時代だったのは明らかに素晴らしい才能を吸引する市場と規模があったからだ。
残念だが音楽産業はその役割を終え、位相を変える時代になっている。K-POPが日本で市場を作り始めたのは
その兆候と見て良いだろう。


そしてかつての音楽産業に匹敵するヒップさをもっているのは、スマホゲーム産業だということだ。

そして若い才能はそこを目指す。


ゲームだけでなくゲームから派生したグッズビジネス、ライブエンタやアニメ化等の事業も展開しており
映画産業と同じようなモデルで成長することになるはずだ。


現在の日本のレコード会社において最大の問題は30代のスタッフの希薄化だ。
そしてミュージシャンにおいては才能の絶対的な流入数の減少で更に厳しい。

私にとってミュージシャンとは未だに憧れの存在だが、現代の若者にとってはそうでもないということだろう。

時代と言えばそれまでだが寂しい限りだ。


しかしスマホゲーム産業とて30年後にどうなっているかは分からない。
そういう意味でこうした流れはいずれ繰り返されるのだろう。

エイベックスは音楽制作部門をライブエンタ部門内に包括しているし、
今後大手レコード会社でも似た様な事が起こるだろう。


音楽産業にとって音楽配信とライブエンタが音楽ビジネスの二大柱になることは疑いようがなく、
CDは遺物になってしまうだろう。
そうなった場合、音楽産業はいずれアーティスト中心ではなく、外部のメディアと連合した形で
生き残りをかけることになるだろうと推測する。


またK-POPの台頭は日本のアイドル産業に外圧としてのしかかり、彼らとの連携が日本の芸能産業としての
生き残りを左右する時期がもう目の前だと言ってもいい。


エンタメ業界も新しい時代になったと思う。






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