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K-POPのライブ動員とSNSとギャラの関係について [ライブ・コンサート]

ライブ動員とSNSとの関係について


ネット時代になって色々と面白い事が判ってきた。
読んだ後、そんな事当たり前じゃんって言われそうなので、
予め新発見ではないことを断っておく。

ちなみに既に気が付いている人もいると思う。
でもこれをちゃんとまとめた人は初めてかも・・・と思っている。
でも、母数が少ないので、本当は大学サークル辺りでキチンと
定量的な検証があれば、もっと確実な事が分かると思う。


昨今、音楽業界はCDメディアのビジネスが崩壊している。
1997年をピークに右肩下がりなので、今更なのだが、
いよいよ本当に終わると思う。
多分我々のようなレコード世代が殆ど金銭的にも寿命的にも
買えなくなる10年以内がレコード会社の寿命だろう。
ゼロにはならないだろうが、会社として維持できるほどの
マーケットサイズは無くなる。

さてその代替ビジネスがライブ産業だ。
もはやミュージシャンはライブが出来ない人以外はほぼ食えない。
また集客の出来ないミュージシャンも食えない。
ミュージシャンの収入は、過去にヒット作を大量に持っていて
その累積による印税で収入をカバー出来る人たちを除いて
ほぼ動員数に依存している。

さて、本論だ。
ネット時代になり、SNSメディアを利用し、特に本人発信が可能な媒体には
多くのファンもしくは興味をもった人たちが集う。
私はミュージシャンにしろ、タレントにしろ、そういう発信メディアに集う
無数の人たちと、リアルビジネス(ライブや講演会等)に何らかの関連性が
あるのでは?と思っていた。
私は現在K-POPと2.5次元関係の仕事をしている。
K-POPと2.5次元はネット住人と親和性が高い。
しかし実際にライブを開催するとなると、動員数の読みがいつも課題となる。

そこでネット住人の動向と動員数に関連性がないかを考えてみた。
その中で一番使いやすく調べ安かったのはツイッターやインスタグラムだ。
特にツイッターはフォロアー数も分かり、また分析ツールもあるので分かりやすい。

そこで、K-POPと2.5次元関連を調べある関連性を記しておこうと思う。

(方程式#01)

K-POPにおいて、「メンバーが書き込む」公式日本サイトのフォローア数の
10%が日本国内における下限動員可能数(1ツアーの総動員数)だ。
なお、この確率は約85%で、例外は15%程度存在する。
下限動員可能数とは、少なくともその数は動員できる。
U-KISSは日本フォロアー数約13万件に対して、日本での動員数は約1.3万人だ。
ちなみにSEVENTEENは、日本フォロアー数約19万件に対して2月のツアー動員が5万人だったので、
フォロアー数以上と言えるが、下限動員可能数の1.9万は遥かに超えている。
但し、理論値を大きく超えているアーティストは、超えた分が「バブルな人気」の恐れがあるため要注意だ。つまり実力値を超えているとも言えるのだ。この辺りは研究が必要だろう。
なお、VIXXは、フォロアー数11万件で動員数は約1.1万人だ。
例外は、超新星でフォロアー数4.3万件で、日本の動員数が2.0万人あり、
こういうケースも存在する。

(方程式#02)

K-POPにおいて、メンバーが書き込む公式韓国サイトのフォローア数の
1%が日本国内における下限動員可能数(1ツアーの総動員数)だ。
なお、この確率は約70%で、例外は30%程度存在する。
韓国で売れないと日本でも売れないと業界で言われているが、
この感覚はこの点において証明されていると言える。
U-KISSは韓国フォロアー数約48万件に対して、日本での動員数は約1.3万人だが、
0.48万を超えている。SEVENTEENは、韓国フォロアー数約112万件に対して、日本での動員数は
5万人だったのでこれも理論値の1.12万人を超えている。


(方程式#03)
K-POPにおいて、メンバーが書き込む公式韓国サイトのフォローア数が
100万件を超えると、動員数とは連動しなくなる。
100万件のにおける下限動員可能数(1ツアーの総動員数)は10万人だが、
100万以上になると、過去に累積内から離脱者が出ている可能性が高く、
また新規が積み重なるため入れ替えがあり、実動員への影響が少なくなるとみられる。
韓国で100万件を超えるとドームやスタジアムツアー公演の可能性が見えると言ってよい。
ちなみに、防弾少年団は、韓国のフォロー数が422万件だが、日本は96万件で、動員数は約7万人だ。
422万件あっても、動員数が比例する訳ではないいい例だと言ってよい。


(方程式#04)

韓国のツイッターフォロアー数が41万を超えると韓国国内での人気が目に見えて明らかになり、
日本での人気の可能性が俄然と高くなる。
何故41万が有効なのかについては不明。
但し、超新星はこの例に全くはまらない。


(方程式#05)

2.5次元系(ツイキャス等で活躍している人たち)は、フォロアー数の1%が日本国内における下限動員可能数(1公演当り)だ。10万フォロアーがある人は1000名までの会場ならライブ開催の可能性があると考えられる。
なお、2.5次元に親和性のある人たちは、ネット上での興味を持つが、リアルへの
参加比率が極端に少ないと分かる。
但し、数名で行うライブ開催においては、出演者全員のフォロー数を足した数の1%には必ずしもならない。場合によっては興味のないアーティストの出演に対して拒否反応が出るので、要注意だ。これはK-POPでも同様。


上記方程式で大きな欠点があるとすれば、1人のファンが何度も会場に足を運ぶ比率については補足出来ないという点だ。フォロー数から導きだされる理論下限動員可能数を大きく超える動員があるグループの場合、動員数の中に1人のファンが何度も会場に足を運ぶ比率について分からないと真水のファン数が読み取れない。
またツイッターの場合、1人が複数アカウントを持っていてそれらを全て使った場合を想定すると、
フォロー数と人間の頭数は必ずしも一致せずとなる。
ただし、ツイッターのフォロー数を利用することで、全く的外れなマーケティングにならない確率は上がるのは確かなようだ。

上記を違う言い方にすると、K-POPは動員数の10倍余りのポテンシャルユーザーが存在し、
2.5次元系は100倍存在すると言ってよい。
ただ、実際にビジネス対象となる真水の範囲がどの程度なのかはまだまだ議論の余地がある。
また日本のアーティストの場合、SNSに親和性のあるファンが多い人たちであれば、
本方程式を上手く使う事で人気の尺度を見る事が可能だろう。
但し、山下達郎さんのような人たちにはこうした尺度は当てはまらない。彼の1度のツアー動員数は約10万人だが、ツイッターをやっていたら70万から100万程度のフォロアーがいる可能性がある。
そういう意味で、上記方程式が通用するアーティストは、2008年頃以降を境に出てきた
アーティストが中心となるだろうと思う。
 
最後にライブのメイン出演者のギャラについてちょっとだけ法則性を語ろう。
ライブを開催する際、 ライブのメイン出演者のギャラの設定に悩んでいる人は多いだろう。
実は目安がある。
総売り上げに対する メイン出演者のギャラが20%以下とすることだ。
出来れば10%から15%の間で折り合えるのが適切だ。
20%を超えてしまうと、演出面や制作費関連を削らざるを得なくなる。20%は、ステージ上の全出演者を入れた位の設定となる。
また当然だが、主催の総売り上げは「(チケット代-チケット手数料)×販売数」になる。
チケット手数料は、大抵3~8%程度であり、決して軽くない。
1つの目安としてだが、チケット代が8,000円を超えるようなアーティストの場合、
動員1000名に対して払える上限ギャラは100万円程度が妥当と言える。
国際フォーラムA(4500名)だとすれば、売上は約3,300円程度(手数料控除後)だ。
動員1000名=100万円の法則で言えば、450万円でギャラ率は13.6%。500万円としても15%程度となる。
武道館辺りでかなり満員にしても9,000名程度だ。チケット代10,000円でも売上は、8,200万円程度だ。 
動員1000名=100万円の法則で言えば900万円程度が妥当となるが、これで10%程度。15%程度まで考えれば1,200万円程度までが許容範囲だろう。つまり、900~1,200万円の中で金額が折り合えばビジネス出来るというものだ。
とある売れ筋のK-POPタレントの横浜アリーナのライブは、満員だったが、出演者のギャラは、1ステージで1,600万円だった。これはチケット収入の13%程度だったと思う。この設定はかなり妥当性が高い。但し、日本以外のアジア圏では、2000万円以上を支払う国があるのは事実だ。この辺は研究したい部分だ。

ある韓国の俳優のファンミでは、総売り上げの35%を支払っていたが、こうなると主催者は殆ど利益を出せなくなってしまう。 そういう設定を飲まないと開催出来ないという不利を承知でも、ビジネスとしてはやらない方が良くなってしまう。
また、韓国のK-POPの事務所は、日本のライブにおいて、結構驚くようなギャラ提示をしてくるが、だいたいは、上記の法則の倍以上の要求をしてくるため、まともな感覚で言えば日本側がリスクを負っての開催は殆ど不能だ。
 
さて、2017年5月、こんなニュースがネットに出ていた。

★翌週に控えた「SHINHWA」の日本公演、突然の中止発表… 「SHINHWA」側は法的対応も辞さない構え  
 
ツアー関連のサイト:
 
幕張メッセ(動員0.9万人) で2日間(1.8万人)の開催を計画していたようだ。招聘は日本法人だが、社長は韓国人だ。
 
KARMS: 
 
資本金500万円の会社が、メッセでライブイベントやろうと言うのだから尋常ではない。少なくとも億単位の制作費がかかるが、外部からの調達資金で賄っているのだろう。共同主催のThe Booming Companyは何の会社か全く不明。 
 
さて、SHINHWAの韓国のツイッターのフォロアー数は、14万だ。 
https://twitter.com/shinhwacompany 

もうかなりのベテランなので、今の日本の若い層には忘れられたグループかもしれないが、本国ではそれなりに固定ファンがいる。
私の方程式に照らしてみれば、 可能動員数=14万×1%であり、1,400名程度だ。かなり上振れても2,000~3,000名が限界だ。今の神話の動員数限界は中野サンプラザ級だろう。払えるギャラも200万~300万円だ。
今回の設定キャパである1.8万はその12倍の設定ということだ。私の想像だが、チケット発売をしたが、想定を超えて売れなかったのだろう。しかしメッセは押さえてしまっており、チケットは発売され、主催はニッチもサッチも行かなくなったに違いない。予定していたギャラも払える状態でなかっただろうし、経費だって同様だ。
報道情報だけでも両者間に相当な揉め事が起きた事が伺われる。神話の事務所は被害者だが、日本で1.8万も動員できると考えるのは、マネージメント会社としても現実を把握していなさすぎだ。
これも想像だが、このキャパ設定をしたのは、事務所の提示したギャラが2000万円程度だった可能性が考えられる。主催からすると、このギャラを回収して利益を出そうとすれば、動員数が約2万と設定したいからだ。 おまけに彼らのライブは演出が派手だから舞台制作費も相当かかるだろう。

もはやK-POPバブルの様相だが、この規模のライブで躓くと、会社が飛ぶ可能性だってある。
マーケットのリアリティーを無視すると、興業は恐ろしい結果を生む典型例になるかもしれない。

私の方程式を知っていれば、こんな初歩的な事で躓かなくて済んだのにと思う。
お気の毒様。 

私も気をつけよう。







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