井上陽水さん UNITED COVER-2 LIVE at 国際フォーラムA 2015年12月5日 [ライブ・コンサート]
井上陽水さん UNITED
COVER-2 LIVE at 国際フォーラムA
2015年12月5日(土曜日)17時10分開演。
セットリストは写真の通りだ。ちなみに全公演のセットリストが出ているWEBがあった。便利な時代ですな。闇夜の国から、聴きたかったね・・。
http://www.livefans.jp/groups/66429
約2時間20分のライブはアッと言う間だった。
国際フォーラムAの長蛇の入場状況を見て、今日は本当の意味で満員だろうなと感じた。
満員御礼という会場入り口の表示は、多少情報を盛りがちにする芸能分野と言えども
陽水さんは、1969年にアンドレ・カンドレという芸名でデビューしてから46年の芸歴となるが、未だに国際フォーラムA(キャパ5000人)が満員に出来るパワーがある。
今年67歳。凄いことだ。
長い年月を振り返っても井上陽水さんのような声の持ち主には出会っていない。
そういう意味で強力なオリジナリティーを持ち、風雪に耐え、現在があるのだろう。
年齢と共に歌唱方法を変えてきているが、
昨今の歌唱方法はシャンソンを感じさせる柔らかく包容力に満ちたものだ。
さすがに若い頃のような歌い方は難しいだろうが、風雪に耐えた現在の声と歌唱も
他の追随を許さない。
当方の年齢を重ね、若い頃とは趣味もテイストも変化しているのだが、
そういう意味でも陽水さんの音楽と声は心地よい。
今回はUNITED COVER-2というアルバムの発売に合わせた形のツアーだったが、
あの声で歌ってくれるなら、ある意味何を歌ってくれても素晴らしい。
それでも彼のオリジナル曲に人生を投影する多くのファンにとって
彼の作品はかけがいのない記憶を呼び起こしてくれる。
「傘がない」は私が陽水さんを最初に好きになるキッカケを作った印象的な名曲だ。ライブで聞いたのは久しぶりだったが、何度聴いても素晴らしい。
今回、最後の曲として歌った「結詞」は、アルバム「招待状のないショー」の中の1曲だが、自分の中学時代にあのアルバムを聞いていた光景が怒涛のように眼前に拡がり不覚にも思わず涙してしまった。俺も泪脆くなったもんだ。
2014年の「氷の世界ツアー」の最後の曲は、アルバム「二色の独楽」に入っている「眠りにさそわれ」という曲だったが、この曲も同様に心を揺さぶられたものだった。
MCで語っていたイタリアの洋品店で求めた高価なシャツの話は本当に面白かった。
陽水さんがお金を支払う際に”クラクラとした”というあのシャツ、一体値段は幾らだったのか?
それを言わず想像させるところがニクいな・・。
陽水さんにしろ、山下達郎さん、桑田佳祐さん、小田和正さん、中島みゆきさんなど素晴らしい日本のミュージシャンが輩出された同時代に生まれ、生きる事が出来たのは、ある意味幸運だった。
そしてさらに幸運だったのは、彼らがまだ現役で我々の前で素晴らしいパフォーマンスを展開しているという事実だ。
加えて今回陽水さんのバックで演奏していたミュージシャンたちの質の高さも素晴らしいかった要因の1つである。
ドラムの山木秀夫氏、ベースの美久月千晴氏、ギターに長田進氏と今堀恒雄氏、キーボード(シンセ)小島良喜氏、コーラス澤田かおり氏とfasun氏とレベルの高い布陣だ。
小島氏は80年代桑田バンドでも活躍していた方だが、年齢を重ねるに従い演奏が素晴らしくなる一方だ。山木氏は亡くなった青山純氏や現在でも活躍中の村上”ポンタ”秀一氏と並ぶ日本のドラマー界のベテランだ。
時折ふと、今の10代、20代を彩っているはずのミュージシャンたちは、30年後も一線で同時代を生きた人々たちの前で同じようなレベルでやっているのだろうか?と思ったりする。もちろんそういうミュージシャンも沢山いるだろう。
現代では音楽が時代を切り開く力を失っていると言われ、それは確かに事実だが、
それでも手前味噌な言い方をすれば、我々の時代の音楽は計り知れないほど人生を豊かにしてくれた。
今回会場内で「クラムチャウダー」のCDを買い求めた。1984年のライブだが、油の乗った時代の彼の声、そして大村憲司氏のアレンジとギターは今聴いても凄いの一言だ。大村氏は1998年11月に他界したが、惜しいことだった。
このレコーディングのエンジニアが知り合いの大川正義氏だったのは今回初めて気がついた。あのオジサン、意外に良い仕事するな。
さて、今回の井上陽水さんのライブに行き、改めて私の人生を彩ってくれた音楽の素晴らしさを実感した。
出来れば若い人たちにも体験しておいて欲しい。圧倒的なプロとはこういう人たちだ・・ということを知って欲しいからだ。
もうこんなヴォーカリストに会うことはないだろうから。
12月はもう一人の私が尊敬して止まないミュージシャン、山下達郎氏のライブが控えている。陽水さんと達郎さんには共通点がなさそうだが、私にとってはある。それは「声」だ。私はずっと高い声を持ち唄が上手く素晴らしい曲が書けるミュージシャンが好きだった。特に「声」の占める割合は大きい。
陽水さん67歳、達郎さん62歳。どちらも還暦を過ぎ、しかし現役感を失わずに活躍している。そう考えると私の好みって意外と良いセンスをしていると言えるかもしれない。
- アーティスト: 井上陽水,ジョン・レノン,永六輔,宇多田ヒカル,来生えつこ,岡本おさみ,松任谷由実,佐伯孝夫,浜口庫之助,北山修,ポール・マッカートニー
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2015/07/29
- メディア: CD
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