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Queen“Bohemian Rhapsody”のサウンドの秘密を探る Pat-10 [音楽に関わるブログ]



Dictaphone.jpg

ディクタフォーン。
制作中の音源が外部に漏れることに慎重だったメンバー個々は
この機器を使って仮音源を試聴していたらしい。
カセットテープもあった時代だが
何故かこれを利用していたというのは興味深い。
尚、録音は写真右の拡がった口の部分を
スピーカーに向けたりすることで行ったらしい。

Queen IIや他のQueenのヒット曲、特に'Bohemian Rhapsody'は、トラックの世代間コピーを行った事でロジャーのドラムに発生した多くの歪は、曲のサウンドそのものの特徴にさえなり、その後多くの人たちがアウトボードを使って同じようなサウンドを作ろうとしました。
今日に至っても機械的にあの押しの強い歪んだサウンドを再現しようとする人々が大勢いるがねえ。
自分たちが意図せずに作り上げたあのサウンドは、ギターアンプのヴォリュームをフルに上げた時に得られる同じ方法で聞くことが出来る歪とも言えるだろう。だが全てバンドのサウンドとして昇華しましたがね。

 

4人のバンドメンバーは、楽曲の制作作業に入るとそれぞれが積極的に関わり、クリエイティブをリードしていった。ロイ・トーマスの主要な役割は、Queenとして特徴的なサウンドを保持しながら作品に仕上げためにバンドを鼓舞することだった。

「たった一人の作家しかいないバンドと作業するよりは難しかったね。
何故なら彼らは全員が優秀だったからだ。誰が作品を書いてきたかは問題じゃなかったね。いずれにしてもQueenの音だったからね。
他のバンドがメンバー間で対立する事例が多いのに比べるとQueenとの仕事は素晴らしい体験だった。(私が)彼らに言い続けていたのは、他の人間がいるスタジオ内で(メンバー同士が)口論するのは恥ずかしいことだということだった。

だから私はいつも彼らに議論の余地を与えながら、もめ事は個別に対処したんだ。もめ事の殆どは誰の曲をB面に入れるかとか印税に関してだった。記憶にある出来事と言えば、ロジャーが書いた'I'm In Love With My Car''Bohemian Rhapsody'B面に入れるかどうかで陰鬱になってしまったことかな。終いにはSARMスタジオのテープ倉庫に入ったまま出てこなくなり、自分曲を入れるまで出ないと立て篭もってしまったんだよ。結果的にメンバーは曲を入れたがね。」

'Bohemian Rhapsody'のプロモーションビデオはブルース・ギャワーズが監督し、製作費は4000ポンドだった。但し、レコーディングに関する制作費用に関する情報は不明だった。


「相当な経費がかかっていたはずだ。」とベイカーは語る。

「しかし私には余り関係のないことだったよ。そもそも私の管轄じゃなかったしね。私の管轄は出来る限り売れるレコードを創り出すことなんだ。そしてアルバム制作作業の開始日と納品日が与えられているだけなんだよ。ラウンドハウススタジオで報道向けの試聴会をやっている最中でもアルバムに収録する曲のミックス作業をやっていた位だったんだ。だから当時の報道陣が聞けたのは仮ミックスの段階のものだったんだ。そういうこともあって制作費に頭を悩ました事はなかった。結果的には安く上がったとも言えるレコードになったしね。」

残念ながら'Bohemian Rhapsody'の制作段階を音によって確認できるような音源は存在していない。

これは、スタジオに多数の未完成のレコーディング音源が散乱していたのはQueenの病的な程の用心深さのためだった。

ベイカーはその論理的根拠を述べてくれた。

「(外部の人間が聞く事が可能で尚且つ後々に残るような形での)ラフミックスは一度もやらなかったんだ。というのも我々にはフィリップス社製のディクタフォーン(注:口述を録音し、後に録音を聞きながら口述内容を書き起こすために使う機械で、吸入器のような部分で音を拾い機器の内部に録音し再生できる機械の事:冒頭の写真を参照)という機械があったからなんだ。

(メンバーが)個別にミックスを聞く事を実現するためにスタジオのモニターにディクタフォーンの音を拾う部分を密着させてミックス中の音を機械に録音できるようにしたのさ。また編集が本当に上手く行くかを見るために我々は自分たちのためのラフミックスを数曲行ったんだ。
ただ、ラフミックスの作業を行うと未完成の状態の音源がレコード会社の手に渡ってしまうリスクがあったんだ。それを避けるためには作業中の音源を隠すか偽装するかという手段をとる必要があった。
ある時、トライデントスタジオで、仕事中のビリー・コブハムは隣のスタジオのコントロール・ルームの中にテープを持って行くラベルに“シリー・コブハム”と書いて隠したんだ。ラベルにQueenなんて書いたものならEMIの連中が(勝手に持ち出して)翌日コピーを取ってしまうのは確実だったからねえ。」


つづく

Part-11につづく:
https://skjmmsk.blog.so-net.ne.jp/2013-04-25-3


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