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Queen“Bohemian Rhapsody”のサウンドの秘密を探る Part-9 [音楽に関わるブログ]




テレフンケン.png

グレイ・ランガンはSARM スタジオでベイカーにくっついて関わっていた18歳の新人アシスタント時代を経て、キャリアを飾ることになったアートオブノイズやトレヴァー・ホーンとの仕事、スパンダーバレーやミック・ジャガーの制作に関わった人物だ。
'Bohemian Rhapsody'におけるストーンとリオンズのミックス作業後、ランガンの最初の仕事は、3つの全く異なったセッションとして納められてマルチマスターのテープの音を1つにまとめることだった。
彼は言う。

「パーツ化したテープを全て繋がない限り、誰もにも6分間に渡る全編がどんなものなのか分かりようもなかったんだ。そして私はコントロール・ルームの後ろに立っていて、ロック史の1ページに残るだろうこの曲が登場するのに耳を傾けていたんだ。そして実際に音を聞きながら私の心の奥底では、これは国民の祝日を設定するに値するなと感じていたし、実際そう思っているよ。」
SARM
スタジオに'Bohemian Rhapsody'のミックスが開始される前日に設置された新しい機材は、アリソン社製のコンピューターミックスシステムだった。ランガンは笑いながら語ってくれた。

「とにかく世界初のオートメーション式のミックス機器だった。しかしとにかく酷い代物でまともに動作したことが一度も無かった。おまけにマルチテープの2チャンネル分にこの機材用のデータを記録しなくてはならなかったんだが、そうなると録音できるトラックが22チャンネルに減ってしまうんだよ。フレディーが新しい“ガリレオ”パートを録音しようとするものなら、私はいつも新しいテープリールをマルチにかけなければならなかったんだ。実はこのパートだけで3週間もかかったんだが、1975年当時の標準ならアルバム1枚がレコーディング出来る時間を費やしたんだよ。」

 

ベイカーは続ける。

「(音の歪の原因は)曲の後半のオペラ部分の音の歪を監視するための古いVCAシステムのだったんだ。レコードの音を良く聞いてもらうと分かると思うよ。でも我々が取り組むべき歪の原因は1つだった訳じゃないんだ。トラック間のコピーを頻繁に行った事やコンピュータ化のために使用された古いVCA技術を使った事が、結果的に音の歪に繋がったんだよ。
その段階にまで来ると、ボード内のVCAにはこれ以上音量を入れられないというレベルにまで音量メーターが張り付いてしまったんだ。そのためロックセクションの部分で我々は仕方なくコンピューターの電源を落とし、昔ながらの方法でコンソール前に何人もの人間を配置して手動でフェーダーをコントロールすることにしたんだ。

ロックセクションの導入部をスネアをキッカケにした編集ポイントとして別途に扱う事は予め計画されていたものなのだが、あの強烈な感じは手動操作をやったことの副産物と言ってもいいね。」

「実はあのポイントでVCAが限界点に来てしまったんだ。」とベイカーは説明する。

「だが私は意図的にさらにそれを進めようとしたんだよ。ロックセクションのあのポイントを境に、それ以前と比べて音がクリーンになり、明瞭になり音圧が上がり、著しい差異があることが聞いていて分かるはずだ。実際この結果は初めから見越していた訳じゃないんだがね。瓢箪から駒みたいなもので、音の歪を取り除けなかった結果だとも云える。しかし当時この点は余り心配してなかった。元々Queenってバンドは過激なまでに飽和したサウンドを売りにしているところがあったからね。」


つづく

Part-10につづく:
https://skjmmsk.blog.so-net.ne.jp/2013-04-25-1


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