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Queen“Bohemian Rhapsody”のサウンドの秘密を探る Part-8 [音楽に関わるブログ]




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SARM Studio



Queenが最初の三枚のアルバムを16チャンネルのレコーダーで録音していたが、Bohemian Rhapsodyは、24チャンネルのレコーダーの恩恵を受けることになる。
それでも問題を完全に解決出来た訳ではなかった。ベイカーはその辺りを解説してくれている。


「当時の24チャンネルのレコーダーは、機器ごとに違うフォーマットがあったんだ。しかし我々はそうした問題をなんとか乗り切っていた。つまり、録音に際しては1つの機器のみを使用したんだ。何故ならば、そうしないと複数機器間の同期をとった操作が不可能だったからだ。

まずロックフィールドスタジオで魚のフライを揚げる機械なみにデカい、ステューダー社の24チャンネルレコーダーで作業を開始した。
ヴァーカルのダビングは、スコーピオンスタジオで行ったが、そこにはテレフンケン社のレコーダーしかなかった。テレフンケン社のレコーダーには、他の機器にない特徴があって、それはテープの両端に対応するトラック1とトラック24の記録幅面をトラック223よりも広く設計していたんだ。

理由は両端に記録された音は、かなり高い確率でキチンと記録されない可能性を考えていたからなんだが、このことによってテレフンケン社のレコーダーは他のレコーダーとの互換性を失ってしまったんだ。(注:つまりテレフンケン社で録音した音は他のメーカーの録音機器では再生録音が出来ないという意味)

テレフンケン.png

テレフンケン社製の24チャンネルマルチテープレコーダー


「また残念なことにテレフンケン社の態度は、我々が我々の考える最良のテープマシーンを発明しただけだ!という感じだった。そこで我々はテレフンケン者のレコーダーの仕様は考えず、他の様々な機器から選択することを決めたんだ。
アンペックス社のものは驚くほど優秀だったが、テープ走行に問題があった。つまり、テープの最後の部分に至る過程で(註:テープの残量の影響でテープのテンション率が変化することで)テープスピードが変わってしまうんだよ。また唯一使える事を念頭に入れなかったのはステッペンズ社の機器だけだった。」

 

ベイカーは、エンジニアのマイク・ストーンとギャリー・リオンズそしてジェフ・ワークマンと共に、ロックフィールドの特別仕様の卓や、ラウンドハウスのCadac、ウェセックスにあった全体がの青さが印象的な古いニーヴ社製のコンソールなど実に様々なコンソール卓を試した。

結局ベイカーとバンドのメンバーらはSARM (East) スタジオでのミキシング作業から撤退し、Trident(トライデント) スタジオにあったTrident Bという名のコンソール卓で作業をすることにした。

Trident スタジオにはハウスエンジニアのマルコム・トフトが導入したsecond Bシリーズというコンソール卓があった。

この卓には理由は分からないのだが、とにかく素晴らしい音のするサウンドボードが組み込まれていたんだ。この卓のサウンドボードが売られた時、あのBohemian Rhapsodyのミックスに使用したものだというのが付け加えられていたのを知っていたよ。多分これによってトライデントは買った時よりも高く売ったはすだね。

我々はSARM スタジオにあったMCI 社の機材で我々が冗談でMunchy, Crunchy and Intermittent', と呼んでいるものを利用した。実はこの機材は当時いつも調子が悪かったからそんな言い方をしていたんだがね。


つづく

Part-9につづく:
https://skjmmsk.blog.so-net.ne.jp/2013-04-25
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